しじみの健康食品を作ろうとしたとき、最初は国産のしじみで作ろうとも思いました。
国内の有名な産地を訪ねましたが、水質や自然環境の変化で、どこの産地も漁獲量が減少し、品質や安全性に確信が持てるものはごくわずかしかありませんでした。しじみが育つ汽水域は、工業排水や生活排水などの影響をうけやすいといいますが、現状は私達が考えていた以上に深刻でした。
次に、中国産しじみも検討してみました。ですが、品質が安定せず、さらに安全性も自信が持てませんでした。
納得のいくしじみに出会えたのは、手付かずの自然が残る台湾のある地域でした。
三千メートルを超える山々が連なる中央山脈のふもと、澄んだ天然湧水のなかでしじみが育っていました。
年間をとおして雨量の多いこの地域では、深い森から流れ降りてくるたっぷりのきれいな水が、しじみ池の底から常に湧きだしています。
私たちのしじみの産地は、いわば開発から取り残された地域です。山の上から見下ろすと、工場や田畑がほとんど見当たりません。工業排水や農薬などによる汚染の心配がないからこそ、これほど美しいしじみが育つのでしょう。しじみ産地の山は十年ほど前から開発が禁止されているといいますから、しじみにとってこれ以上の環境はありません。
しじみの産地では豊かな恵みを利用し、さらに2週間に1回の水質検査を欠かさないといいます。「活きているきれいな水じゃないと、しじみは生きられない。」そう話す生産者からは、しじみに対する愛情と誇りが感じられました。